第1章 小さな出会い。

10/16
前へ
/65ページ
次へ
ユーリーさんが経緯をかいつまんで話す。 「なるほどね。」 メイコウさんは、ファンちゃんに視線を落し、ファンちゃんの両肩を掴み、屈んで同じ目線になって言い放った。 「何度来ても同じよ。 あなたは薬師になるにはまだ早いわ。 私はあなたを弟子にするつもりはありません。 今は先ず、病気のおじいちゃんの下で暮らすのが一番ですよ。」 文字通り小さな子に言い聞かせるように話すメイコウさん。 やっぱりね。 私も同じことを言われた。 私でもまだ早いって。 でもでも、ナルミさんはメイコウさんの弟子になって久しいと聞く。 なぜ、弟子にしてくれないのかな? 私自身も疑問符を浮かべながら、成り行きを見守っていた。 「早いと判断するのはどういう基準からでしょうか?」 ユーリーさんが、メイコウさんに尋ねる。 そうそう、私も知りたい。 「年齢的にもまだ若いですからね。 それに今お爺ちゃんが病気なのでしょう?  薬師になるのは一朝一夕でなれる物ではありません。 何年もかかるの。 その間おじいちゃんと離れて暮らすことになります。 そんなことが良いとは私には思えません。」 メイコウさんはそのまま視線だけをユーリーさんに向けて言った。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加