第1章 小さな出会い。

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メイコウさんの最後の態度に、ちょっと重々しい雰囲気になり、黙々と道中を進んで行ったのだった。 ミソカツ亭の指定席の円卓を囲むと早速ユーリーさんが口を開いた。 「さて、ファンはミソカツ亭に宿を取っているの?」 ユーリーさんがファンちゃんに尋ねると、 「いえ、とってないです。」 やっぱり、宿に泊まっているのならあんなに汚れていないものね。 「では、ファンの宿代をパーティのお金から出します。 宿屋で私たちと一緒に、一泊しましょう。」 ユーリーさんが言うと、ファンちゃんは、 「いいよ、テントで寝るから。」 そう答えてきた。 やっぱりテントで寝泊まりしていたんだね。 でもでも、それは……。 「テントは危ないわ。 それにここは農業地区にしかテントは張れないわよ。」 「うん知っているよ。 何日も泊まっているもん。」 胸を張って答えるファンちゃん。 「なおさらよくないわよ。 私たちと一緒に泊まりましょうよ。 小さい女の子1人テントに泊まらせられないわ。 知り合ったのも何かの縁だし。」 ユーリーさんがファンちゃんを説得する。 その思いが伝わったのかファンちゃんが、 「うん分かった。 じゃ、テント片づけてくる。」 と言って席を立った。
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