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少し古びた洋館。
そこが彼の住処。
そして僕の居場所。
彼は日中は普通に働いているし、僕も学校に行っている。
食事だって普通に摂るし、睡眠もとる。
普通の人間と殆ど同じ生活をしている。
違うのはたまに血液を食事とする事だけ。
定期的に血を吸わないと動けなくなるらしい。
動けなくなった後の事を僕は知らない。
彼も言わないし、僕も聞かない。
それが暗黙の了解だった。
ギシリと軋むベッドの上、少しうとうとしながらいると彼が僕の隣にやって来て、そっと髪を撫でてくれた。
「今日の人は記憶も?」
「いいや、今日は血だけ貰ったよ」
彼が摂る食事で一番贅沢で美味なのは『記憶』なのだと言う。
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