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普段は血液だけを吸うけれど、たまに血液と共に『食料』の記憶も吸うのだ。
いつもは適当に選んだ人間を食料に選ぶのだけど、その中にたまにとても辛い記憶を持っている人がいる。
このままではその記憶に押し潰されて自殺をしてしまうのではないか…
そのくらいの記憶を抱えている人間。
彼はそういう人間を見つけると、その記憶を血液と共に食す。
そうして、吸われた人間はそれを知らずに生きていく。
彼にとって極上の食事。
それは時に人を生かす。
記憶の中でも、『愛した記憶』はとても美味しいらしい。
でもそれはとても大切な記憶だから、簡単に食べてはいけないのだと彼は言う。
どんな悲しい別れでも、愛した記憶がなくなるのは別れより耐えられないからなのだと。
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