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僕はその冷たい身体が少しでも暖かくなるようにと、必死で縋りつく。
いつまで彼の傍にいられるかはわからない。
彼は一時の気まぐれで僕をここに置いているのだから。
それでも僕は願うんだ。
どうかこれが彼の最後の『愛した記憶』になるように、と。
もう二度と、その愛しい記憶を食べなくてもいいように。
「僕はずっとここにいるよ」
声にはしない。
ただ、心の中でそう言った。
いつか彼が僕の記憶を吸う時が来た時に、僕がそう思っていたのだと彼に知ってもらうために。
何度も何度も、心の中で囁く。
「ーー僕はここにいるよ」
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