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呑気に感心している場合ではないと思うが、現時点で対策が出来ないため仕方ない。
それに、今までは何とかなってきた相手ばかりだが、敵のトップは俺よりも強い相手だ。
必ず何とかなるとも言い切れず、初めての強敵にどう立ち向かったらいいのか不安になる。
愛する雪也を死なせたくはないが、離れることは出来ないし、俺に何かあれば雪也も危険だ。
結局、今のまま行動するのが最善で、俺は自分をなんとか守らなければならない。
わかっていることなのに、不安は込み上げてくる。
当然俺の体内にいる雪也にも、不安も悩みも、沸き上がる恐怖も伝わっていた。
“瑞樹、大丈夫。俺も瑞樹を守る。俺はどんな状況でも、瑞樹から離れない。ひとりじゃないから。ね?”
“そう、だな。ありがとう、雪也。”
雪也から心強い言葉が伝わるけれど、完全に不安も恐怖も消えはしない。
敵を自分で見ていないというのも大きいかもしれないし、その力量もはっきりしないというのも関係しているだろう。
予測で出されたデータで、わかっている能力は僅かだ。
全ての能力が使えると予想したとしても、能力値だけは誰も知らない。
“雪也、少しでいい。だから───。”
“うん。それで瑞樹が少しでも安心するなら。”
俺は自室へとテレポートして、俺の体内から姿を表した雪也の服を脱がせ、肌を重ねた。
時間の許す限り雪也と繋がり続け、雪也が体内にいる時には感じられない、その肌の温もりを感じ続ける。
不安も恐怖も全て消してしまいたいと願いながら───。
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