希望の雫

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この日から俺たちは可能な限り、以前行っていた行為を再び行うことにした。俺と尚人と蓮司さんの3人で交互にしているが、日々能力値は上がり続けている。そして、1か月が過ぎた頃、隠密部隊から連絡があったと蓮司さんが言った。 「日向達昭と瀬戸木哲也の死亡が確認されたそうだ。」 俺と尚人は蓮司さんからその言葉を聞いて言葉を失った。あの日が達昭と哲也との最期の時間だったのだと改めて思い知らされた。 「金土井も死亡が確認された。2人のおかげだと聞いた。」 「そうか。」 「金土井がしていたことは今後の研究にも役立つと判断した。落ち着いたらでいい。全てを見てくれ。2人が命懸けで得た情報でもある。」 その蓮司さんの言葉に俺も尚人も頷くしかなかった。荒土井以上の強敵が出てくる可能性を消せず、俺たちはその後も行為は続けることになった。 “瑞樹、俺がいるから。” “うん。あいつら、救えなかった。” “全部瑞樹が背負うことないんだよ。でも、それが瑞樹だってことわかってる。” “雪也、ありがとう。” 雪也がいてくれたことが良かったと思えた。ひとりじゃない。そう思えることが俺にとって支えでもあった。尚人も同じだろうか。俺よりも達昭と話すことが多かったはずだ。尚人の方が思い詰めていそうでもある。それでも、英志が支えになるといい。そう思わずにはいられなかった。
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