55人が本棚に入れています
本棚に追加
菊雅の問いに何も言えなくなった鋼依に代わり彰正が口を開いた。
「俺らの友達に遺能者で身体に異変が出たやつがいたんだ。KIGSISは医療部門もあるから、おかしいと思った俺らは依頼を出したんだよ。でも、調べると言ったっきりすぐに来てくれなかった。俺らのところに使者が来た頃にはもう友達は俺たちのことも、自分のことさえわからなくなっていて、ただ破壊するだけの化け物扱いされる状態になっていたんだ。手遅れだった。もう少し早くきてくれてたら、治療できたかもしれないのに。結局そいつは暴走して最期には消されてしまったよ。」
不完全な遺能者か・・・ここまで強く執着するということは鋼依はそいつのことが好きだったのではないのか?
だから間に合わなかったKIGSISを恨むことで自分を保っているのかもしれない。
実際には不完全な遺能者の存在を上層部が認知していなかったともいえるが、その完全な修復方法は誰も知らなかったといえる。
鋼依をパートナーにしたやつはこのことを知った上で鋼依をパートナーに選んだのか?
鋼依にとっては俺も尚人も信頼できる相手にはならないんだろう。
そんな相手を前に自分たちも遺能者だと素性を明かすことはしたくない。
最初のコメントを投稿しよう!