入学式

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悲しそうに語る彰正は友人のことを思い出しているのかもしれない。 「それ何か違うんじゃないか?すぐに誰か来てくれたとして確実に助かる症状だったのか?暴走なんて初めて聞いたぞ。最近の話か?」 話の内容からして友人というのは不完全だったのではないかと思う。 完全修復方法が確実だろうと実証されたのは1年ほど前のことで、俺らは実証された少し前に偶然に発見しただけにすぎないのだ。 「3年前・・・。専門の医療チームなら診ればわかるに決まってる。電話で助けてって言ったんだからすぐに来てくれたっていいじゃないか。」 菊雅の問いに答えたのは鋼依だけれど、KIGSISは完璧な組織じゃないと言ってやりたい。 暴走しだすともう手遅れだから仕方ないんだよ。 かと言って自分が不完全な状態で長くは生きられないということを周りに言う人もいないだろう。 それも3年前となると完全修復方法なんて誰も知らなくて、不完全な遺能者が暴走する末路にあるなんてこともわかっていなかった。 それ以前に不完全な遺能者の存在そのものが知られていなかったといえるだろう。 「あのさ、ちゃんと場所も伝えたんだよな?どんな状態かも全て。」 「言った。全部ちゃんと言った。それなのに来なかったんだ。」
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