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必死に自分に言い聞かせるように言う鋼依の言葉は、力強さを失い目は泳いでいた。
混乱していて電話をした鋼依は自分が何を言ったのかわかってなかったのだろう。
自分の中でそう思いたいのなら思っていても構わないが、誰かに伝える時に偽りを混ぜて話すことだけはどんな状況であっても、いいと言える筈はない。
大きな組織の信頼をなくすような言葉は、真実でないのなら尚更言うべきではないのだ。
達昭のパートナーは助けてやりたいが、鋼依と彰正のパートナーは助けてやりたいとは思えない。
「お前ら一般人なんだよな?遺能者は万能だって思ってんだろ?その考え、改めること出来ないなら、わかりあうことなんて出来ないよ。俺とお前らもこうしてわかりあえてないから。苦しんで暴走したやつも俺と同じこと思ってたんじゃない?捕らえられたやつも、助けたとこでわかりあえないのはわかってるからやめとけ。助けられなかったら、今度は俺たちが悪者扱いされんのは今の言葉でわかったし。悪いけどお前らの話、信じられない。行こう、達昭、瑞樹、尚人。」
「待って・・・なん・・・で・・・本当、なのに──────。」
菊雅が俺の言いたいことを少しでも言ってくれたことで、少しはすっきりしたような気がした。
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