1人暮らし、誕生日、バナナ

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2週間前から1人暮らしを始めた。 ずっと憧れていた1人暮らしだった。 この部屋に最低限の荷物を置いた時、これから新しい生活がスタートするんだってワクワクした。 自炊しようかなーとか、落ち着いたら友達を呼ぼうかなーとか、はたまた彼女をつくってお家デートとか……? とにかくいろんな思惑が頭をよぎる。 でもまずは、必要なものを揃えなくちゃでしょう! といわんばかりに、僕は買い物へ走る。 まずはテーブルを買い、そしてベッドを買い、自炊をするためのフライパンを買い、はたまた自炊のために食材もなんとなく買い、気付けばたくさんの1日が、どんどん過ぎていった。 そして今日、の夜。ふと部屋を見渡した。 そこには、僕が選んで買ったものがあふれていた。 でも、それは僕のもののはずなのに、なぜか、僕の買ったもののような気がしなかった。 僕がこの部屋に住んでいるのに、僕が住んでいる部屋のようには思えなかった。 だんだんと僕は、ここに住んでいる理由がわからなくなってきた。 いったい、ここで何をすればいいのだろう。 ベッドに腰をかけた時、気づいてしまった。 どうして今まで気づかなかったのだろう。 僕は明日、誕生日だった。 どうするんだ? ケーキを買うのか? 自分で自分のケーキを? どうして? 今まで当たり前のように祝われていた誕生日。でも1人だったら? そんなに大切な日なのだろうか。 人から祝われない誕生日に、意味はあるのだろうか。 自分で祝う誕生日に、価値はあるのだろうか。 1人の寂しさとは違う。心が寂しい。 まあいいもう寝よう。明日は誕生日なのだから。 明日の朝、何食べようかな。そうだ。食べようと思って買った、バナナを明日食べよう。 そして心の中で祝福しよう。 お誕生日、おめでとう。
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