Night garden

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無音…無音…無音…。 暗い部屋に無音が流れている。凍てつくほど寒い部屋の中、星空の光を浴びながら無音が、 ジュワッ! 消えた。 その部屋で眠っていた男の目が開いた音で、無音は部屋から逃げていった。 彼の目が開いた瞬間に、暗かった部屋にオレンジ色の眩しい光が迸る。彼の全身が炎に包まれていた。立ち上る火炎と湯気で星空も消えた。 「……はぁ」 彼は横になって上を見上げたまま、ため息をつく。起き上がりあぐらをかくと頭をがしがし掻いてもう一度、今度は音にならない吐息を漏らした。 「……。朝か…。暗いな」 光源たる彼の言葉の通り、部屋は暗く静かだ。彼は不満そうに立ち上がると、扉に向かって歩き出す。ゆらり、と彼の動きに光が付いて行き、彼と一緒に部屋を出た。
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