Night garden

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ゆらりゆらり。二人とわかれて再び一人。 いつも通りの無音の世界。幾億の星空の下でまた一人。やれやれだ。 「おや、これはこれは」 突然横から声がした。彼が足を止めて見ると、遠くから一人の人影が歩いてくる。 若い青年で、その体は彼とは逆に水で出来ていた。透き通った体がぼんやりと青く星空の光をうつしている。とても綺麗な姿が彼に近付くとオレンジ色に変わった。 「命の根源よ。どうした不幸そうな顔で」 「命の温床、幸せかい?」 「まぁね、私の子供達は皆元気だ。彼等との過ぎ行く毎日は割と幸せさ」 「…なるほど」 彼はその答えに頷く。青年にも側に居る者が居る。だから幸せなのだろう。 「全ての与え手の君は寂しいのかい?」 寂しい。 言われた言葉を彼はそのまま心の中でつぶやいた。心の穴につぶやきが反響する。 「…そうかもしれない」 青年は優しい顔で困ったように眉を下げた。 「君は強すぎるからねぇ。私は君が好きだし大事に想っているが、触れればあっさり消えてしまうだろうからね」 「…君だけじゃないさ」 彼は寂し気に呟く。 燃える体。それに触れられる者は居ない。彼は生まれてこの方、他人に触れた事がないのだ。 「大いなる恩恵に感謝と愛情を」 「…ありがとう」 優しい青年の言葉は、彼の心の暗闇に消えていった。
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