夏祭り

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 陸に呼ばれて行ってみると、焼きそばを奢らせようとするので、耳を引っ張って、先に合流することを優先するように伝えるのだが 「俺、お腹すいたし!買ってからでもいいだろう?それより、九条とかは?」 「この先で、あんたを待ってもらっているの!なのに一人だけ何チャッカリ食べようとしてんのよ!!」 「ハア?ってことは、あいつと二人きり。こうしちゃいられない。急ぐぞ!」 どこまでも自分勝手な幼馴染を一発殴った。 「何するんだよ!」 「あんた、どこまで勝手なの?私と宮城君がわざわざ迎えに来てあげたのに対して、さっきの態度。しかも私と琴音ちゃんが浴衣なんだから、もう少し気を遣えないのかしら~ね?」 皮肉たっぷりの嫌味を言ってみると 「そんな動き辛い物を着て来るから悪いんだろ?」 「ったく、だから女心が分かってないのよ!馬鹿。」 彼をぶん殴り、二人に声を掛け、陸を置き去りにして進むのだった。 「上条君、大丈夫かな?」 「大丈夫よ!」 琴音ちゃんは心配する。私は自業自得だと思っている。歩く度に、先程より周りの視線が集まっているのが分かる。琴音ちゃんは美少女で、宮城君はイケメン。だから、通る度にカッコいいだとかあの娘可愛いだとか、聞こえて惨めになる。楽しい筈のお祭りが少しだけ惨めな気持ちになるのだった。 宮城君は私達二人に気を遣いながら歩いてくれる本当に紳士的で、素敵だなと思う。 人混みの中、何とか合流すべく、目的基地を目指し、やっとのことで二人の姿が見え、声を掛けようとするとメッチャイチャついていて、固まった。 「テメェー九条から離れろ変態エロ魔人!」 上条が人混みを掻き分け、藤野先輩に殴りかかろうとするが見事返り討ちに遭ってしまうのだった。
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