夏祭り

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宮城君の方を見れば、優しい眼差しで、二人を見ている。 誰にでも優しいとは言え、千雪ちゃんが絡むと特に優しい。正直、羨ましい。 あんな優しい眼差しを向けられ、見守られる。彼女より長い付き合いだが、一度たりともそんなことはなかった。 だが、彼が気にするのもわかる。私も心配になるくらい純粋な彼女。 かき氷を食べ終えると次に行こうとした瞬間だった。 「あっ、ごめんなさい。電話た!陸みたい!ちょっと、待ってください!」 そう言うと皆、待ちながら藤野先輩だけは舌打ちする。2人は苦笑する。 「あっ、もしもし陸。今、着いたの。ん?私達、かき氷を食べてたところ!!」 すると次の瞬間 「狡い―!」 と大きな声が響き。耳が痛くなった。 「陸!煩い!!鼓膜破れるでしょ!!だいたい、自分が遅れてきたんだから、あっ、もう分かった!!迎えに行くから待ってて!!」 半ば切れ気味に電話を切ると心配そうにする千雪ちゃん 「ごめんなさい。私、入り口まで戻って、あの馬鹿を迎えに行くんで、皆さんは先に行ってて下さい!」 「でも、それじゃ悪いよ!!」 「癪だが、一人じゃ危ないだろ!!」 と藤野先輩達は言ってくれたが、やはり悪いと思って再び断ろうとすると 「2人は先に行ってて下さい!俺が相沢さんと迎えに行くから!」 思いがけない出来事に驚いたのだった。
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