4.禍根

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私の厄日だったあの日に起きた、みちるのショーツの件が、結果的に滝沢さんの嫌がらせの引き金になった。私には、道義的責任がある…。 早川先輩には、四方堂君との関係は省きつつ、恥ずかしいことだけれど、成り行きでみちるのショーツを盗ったことになった事情を話した。(早川先輩は大笑いしていた) そして、二日後の忘年会で起きた会費抜き取りに関しては、予め、滝沢さんが当事者である事を伝え、四方堂君とあや美の幹事たちと私がどう行動し、どう考えたか、また、その後の本部長とのやり取りなど、詳細に話した。この辺りでは、みちるに疑いの目を向けていたことも。 そしてそして、納会の日に起きたUSB紛失の件については、まず、前日に私が訪問先に忘れ物をした事から話すと、やはり、早川先輩は可笑しそうに笑った。 当日の朝、私とあや美、四方堂君とみちるがどのように動いていたか、滝沢さんについてはノーマークだった事を説明に加えると、早川先輩は、悲しげな表情で、『そっか』と言った。 室長からの指示で、当日中にUSBをなんとしても見つけようと、私は必死だった。 もし見つからなければ、その段階で別の修羅場が展開されていたかもしれなかった。 滝沢さんという名前が上がった経緯には、四方堂君の目撃証言が大きかった事も話した。 その後、納会が始まる前に、滝沢さんにUSBの在処を尋ねる段に持っていったこと、滝沢さんは不承不承それを差し出した上、何故このような事をしたのか、全ての事情を打ち明けてくれたことをできる限り端折らず話した。 「滝沢さんがやった事の原因が、私の解雇にあるという事なのね」 早川先輩は暗い表情になり、沈んでいるような様子だった。 自分の事が原因で、滝沢さんがこんな事をしでかしたのかと、申し訳ない気持ちもしていただろう。 私は更に、滝沢さんはクビも辞さない覚悟でいて、事の露見に関わらず、恐らく、この連休明けには出勤はしてこないつもりだろうということも付け加えた。
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