4.禍根

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そうですかと、私は労るように先輩を見つめた。どんな病気だったのか、聞いたら悪いかな…。 「親はとにかく結婚しろとか言ってくるし、なんだか実家も落ち着かないから、本当は正社員で勤めて一人でやっていきたいんだけどね」 「あぁ、わかります。私も実家ではそんな感じで」 「好きで一人でいるのにね」 二人で笑い合った。 食事が来て、そんな他愛もない話題で和やかに過ごす。 久しぶりに先輩と食事をしていたら、まだまだ新米だった頃にタイムスリップしたような気分になった。 ふと思い出して、先輩に尋ねてみようという気になった。 「そういえば、飯島課長の部署ってどういう所なんですか?」 すると先輩は、ぶっと吹き、食べかけていたうどんを戻しかけた。 「い、飯島課長?」 先輩は急にあはははと、大笑いしだした。私は呆気にとられて、先輩をただ見つめた。『なになに?なんで?』 「芽衣子さん、それって、本部長からなんか言われたってことだよね」 ぷはは…と、まだ先輩は笑い続けている。 「はぁ、まぁ、そうですけど…」 私は、みちるのショーツの件を話した時、会議に遅刻したことは端折っていた。 「本部長に怒られて、飯島課長の所に行かせるって脅されたんでしょう?」 「…はい」 先輩は、ズルズルっとうどんを啜っておいしそうに飲み込んだ。 「楽しかったなぁ、芽衣子さんとの仕事は」 懐かしむように、先輩は私を見つめて微笑んでいた。 「え?」 「ごめんごめん。でもね、芽衣子さんは癒し系だったから」 滝沢さんみたいな事を言ってくれるけど、それと飯島課長はどういう関係が? 顔でクエスチョンマークを作っていたら、先輩は説明してくれた。
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