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そうですかと、私は労るように先輩を見つめた。どんな病気だったのか、聞いたら悪いかな…。
「親はとにかく結婚しろとか言ってくるし、なんだか実家も落ち着かないから、本当は正社員で勤めて一人でやっていきたいんだけどね」
「あぁ、わかります。私も実家ではそんな感じで」
「好きで一人でいるのにね」
二人で笑い合った。
食事が来て、そんな他愛もない話題で和やかに過ごす。
久しぶりに先輩と食事をしていたら、まだまだ新米だった頃にタイムスリップしたような気分になった。
ふと思い出して、先輩に尋ねてみようという気になった。
「そういえば、飯島課長の部署ってどういう所なんですか?」
すると先輩は、ぶっと吹き、食べかけていたうどんを戻しかけた。
「い、飯島課長?」
先輩は急にあはははと、大笑いしだした。私は呆気にとられて、先輩をただ見つめた。『なになに?なんで?』
「芽衣子さん、それって、本部長からなんか言われたってことだよね」
ぷはは…と、まだ先輩は笑い続けている。
「はぁ、まぁ、そうですけど…」
私は、みちるのショーツの件を話した時、会議に遅刻したことは端折っていた。
「本部長に怒られて、飯島課長の所に行かせるって脅されたんでしょう?」
「…はい」
先輩は、ズルズルっとうどんを啜っておいしそうに飲み込んだ。
「楽しかったなぁ、芽衣子さんとの仕事は」
懐かしむように、先輩は私を見つめて微笑んでいた。
「え?」
「ごめんごめん。でもね、芽衣子さんは癒し系だったから」
滝沢さんみたいな事を言ってくれるけど、それと飯島課長はどういう関係が?
顔でクエスチョンマークを作っていたら、先輩は説明してくれた。
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