5.疑念

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ともあれ、私は経理へとリダイヤルした。今度はワンコールで繋がった。真山さんを呼び出すと、出た相手がそうだった。 「あ、真山さんですか?」 小さな会社なのだが、経理担当は見事に縦割りで、私は真山さんと顔を合わせたことさえなかった。 「企画室の松浦さんが、なにか?」 手に汗…うぅ、なんか緊張する。 「あの、朝からすみません。折りいってお話がありまして、お忙しい中申し訳ありませんが、定時後にでもお時間頂けないでしょうか?」 真山さんは電話口で散々迷った末に、今日の定時後に会うことを了承してくれた。 隣で、あや美が、『真山?』『定時後?』と、いちいち気にして来たが、私は無視した。 「さて、仕事仕事ぉ」 みちるが休みとなると、しばらくは残業になる。あや美にも残ってもらわねば。今日の定時後も、戻る感じになりそうだ。 ランチタイムはきちんと取りたい。だけど、私は私を知っている。こういう時に限ってなにかが起こる…私がヘマをする。 なので、時間を節約するために、デスクでパパッと食べる作戦にした。あや美にそう告げると、みちるもいないしと自分も便乗すると言い出した。 指導者としては、昼休みはちゃんとした食事をとり、リフレッシュして欲しいと言ったが、あや美は逆に楽しげだった。 「芽衣子さんと食べられればなんだっていいんですぅ」 などと言い、甘えてくる。謎だ。 仕方がないので、みちるが出て来たら2人で食事に行くようにと約束させ、今日はお弁当を買いに出た。 ほんの10分で戻り、食べながらお喋りして片付けても、お昼休みはあと30分も残っていた。 私は鏡も見ずにリップを塗るだけのお直しをして、早速パソコンを開いて仕事を始めた。
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