6.告白

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「醜い…男の嫉妬なんだ…営業の、南雲って奴、知ってる?」 私は内心、あっと思った。なんとか表情に出さずに済んだが、瞳孔の動きはあったかも。 「はい、分かります…早川先輩が南雲さんのことを好きだったと仰るんですか?」 「そう。そう思っていた」 「それは誤解なんじゃありません?根拠はなんですか?先輩には確かめたことなんですか?」 「…」 そんなのたまらない!そんな根も葉もない妄想から、先輩は…。 「もしそれが事実だというなら、先輩はなぜ真山さんとつき合ったんです?南雲さんを好きなら、先輩は容易く彼とつき合えたはずです」 「そうだ…だからこそ、奈美子があいつより僕を選んでくれたことが嬉しくて、有頂天になっていた」 ん?『あいつより?』それって…。 「あの…もしかして、早川先輩とつき合うより前、真山さんは南雲さんとなにかあったのですか?」 組んだ両手を口元で動かしている。少し落ち着かない様子は、隠したいなにかのせいなのかな。 「そのことは…勘弁してくれないか」 なんなの? 私は、『男の嫉妬』というワードをよく考えてみた。そんなの、全然分からないけど…真山さんは、もしかしたら…。 「あの、真山さん?嫉妬というのは、もしかして、早川先輩に対してではなくて…南雲さんに?」 真山さんは完全に俯いてしまった。答えるのは、確かに恥ずかしいことかもしれない。そんな感情、私なら、絶対に人に知られたくはない。 「君…松浦さんは、そういう気持ちになんてなったことはないよね。そういう子だと、奈美子がよく言っていた。だから、余計に恥ずかしいよ」 下を向いたまま、真山さんは囁くように言った。
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