6.告白

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「私のこと、先輩から聞いていたんですね…私だって人に嫉妬することはありますよ。真っ白な人間なんていません。誰だって、誰かを嫌ったり嫉妬したり…それと同じだけ自分も傷ついたりしてるんです」 真山さんは、つと私を見つめた。じっとそのままでいて、ゆっくり口を開いた。 「南雲とは口をきいたこともなかった。あいつは二期上で、僕は入社当初から社内のあちこちで彼の噂を耳にしていたんだ」 「どんな噂だったんですか?」 「自信家で押しが強いとか、新人の頃から営業先でどんどん信頼を得てきて、次第に上からも同僚からも頼られてきたとか、賛否両論だったよ。女性にも持て囃されていたけど、反感を覚える人もいた。どちらにしても噂の的だ」 南雲さんの華やかさは、身のこなしとか溢れるほどの自信から来るのかもしれない。 でも、自信なんて、実力が伴わなければそうそう湧いてくるものではない。それなりの努力がなければ、実力なき自信、砂上の楼閣だ。そんなんでこれまでやって来られるもの? それにしても、私は、四方堂君しか見えてなかったのかな?南雲さんの噂なんて全然耳にしたことがなかった。 「口もきいたこともない人に勝手に嫉妬していたんですか?」 私は半ば呆れてもいた。それはあまりにも愚かすぎはしないか。 「呆れるよね。だけど、知らないからこそ気に食わない、ということもあるんだ。今思えば、あの頃の自分は、自信もなくて自信を持てるものがなにも無くて」 真山さんの耳には、南雲さんの良い評判ばかりが届いていたのではなかったか。自分と比べて、余計な感情を波立てて。
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