6.告白

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「すごく良く分かりますよ。私自身も無くしたらならない大事な部品の一つなんだと分かれば、どんな小さな役割だって、仕事とか会社とか社会というのはそうやって成り立っているんだって、ようやく分かって来ましたから」 真山さんは頷いてくれた。 「奈美子が入社してきて、ほとんど一目惚れだったよ。多分、南雲もそうだったんじゃないかな。南雲が猛烈アタックしているって聞いて、あの時はかなり焦った。自分が奈美子に申し込むなんて無謀だと、すぐに諦めたよ」 「でも、申し込んだ」 「うん。南雲からの申し込みを断るなんてって、同僚女性たちが不思議がっていたからね。もしかしたら、奈美子はそういうスター性に靡かないひとなんじゃないかと希望を見出したんだ。それで」 私は、良かったですねと、微笑んで見せた。 早川先輩にとっては、真山さんこそがスターだったんだと素直に思えた。星空に光り輝いて見える一等星より、宇宙にはもっとたくさんの星が存在するのだ。より大きな星がよりたくさん。 「でも、奈美子から、つき合いは内密にというのと結婚は前提にしないという約束をして欲しいと言われていたんだ」 「え、そうなんですか?」 なんでだろう。社内で秘密にするのは分かるとして、早川先輩の結婚観だけは、なぜとしか思えなかった。 四方堂君に片恋していたことと家の事情もあり、結婚に夢を持てない私は、先輩と結婚の話はほとんどしたことがなかった。 先輩からの恋愛話や結婚の話題がないことが、居心地の良さを作ってくれていた。先輩にとってもそうだったのかな。
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