6.告白

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概ね聞きたかったことは聞けたと思う。既に2時間以上経過してしまった。 「…真山さん、お話しくださって、今日はありがとうございました」 真山さんが落ち着きを取り戻すまで待って、私はこの会談の終わりを告げた。 「いや…僕こそ、こんなひどい話しをちゃんと聞いてくれて、お礼を言いたいのはこっちですよ」 ここが最後の正念場だ。確約できるものならしておきたい。 「真山さんの話は、まず、本部長に持っていきます。それで、早川先輩の懲戒処分を取り消してもらうよう話します」 グラスの水を飲もうとしていた真山さんは、首を傾げてなにかを考えてみたものの、すぐに気を取り直して、グラス一杯の水を飲みきった。 「奈美子の復職を望んでいるのかい?」 顔を拭った真山さんは、目が赤くなっていたが、どことなくすっきりした印象になっていた。 「先輩は復職しないと思います。私もそれを望んでこうしてる訳ではありません。先輩の名誉回復が目的ですが…もしかしたら、私の、ただの自己満足なのかもしれません」 「…そうだとしても、松浦さんのような後輩を持った奈美子は幸せだな。僕には罰が下るべきだね」 いえ、そんな、と否定しかけた私を真山さんは遮り、言葉を続けた。 「事の露呈は不本意だが、それが奈美子への贖罪になるのなら、会社を追われてもいいと今は思う。だから、話した。あとは君のいいようにしてくれ」 真山さんは懐から千円札をテーブルに置くと、ゆっくり立ち上がった。そして、私に黙礼し喫茶店を出て行った。 私はその場で立ち上がり、真山さんの後ろ姿に頭を下げて見送った。
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