7.援軍

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滝沢さんから始まって、早川先輩、南雲さん、真山さんから話を聞いた。事の全容がわかってきた。明日、本部長にぶつけに行こう。 早川先輩との約束。本部長を断罪するのではなく、事の真相を私が知ったことを告げ、先輩の処分を取り消すために人事に掛け合ってもらう。 会議に掛けさせてもらい、事を表立てる。矢崎部長をどうこうするのは二の次だ。 はっきり言って、本部長がそこまでしてくれるとは思えなかった。一度決まった人事を覆すことなんて。 そう思うと、矢崎部長に直接当たって不正を正さないとダメか…と項垂れる。 正直、矢崎部長に適う気がしない。本部長でさえやられっぱなしじゃないの。 私は頭を抱えてしまった。 ぽつぽつと歩いて、オフィスに戻ると、もう9時近かった。 フロアーは無人で灯りはほとんど消され、私のデスクの上部に一箇所だけついていた。 デスクの上にあや美からのメッセージ。『芽衣子さんへ、なかなか戻らないので心配ですが、これ以上待つと芽衣子さんに怒られそうなので帰ります。無事ですか?20:10あや美』 クスッと笑って、あや美にライン。『無事に戻ったよ。心配かけてゴメン。てか、8時過ぎまで?今度ご飯おごるね。返信不要。おやすみ!』 灯りを消して、オフィスを出た。 真山さんはなんだかすっきりした顔で帰って行った。長いこと心の重荷になっていたことを吐き出して、少しは楽になったのだろうか。 逆に私がすっきりしないのは、その重荷の片棒を担いでしまったせい。 そして、実際この件が、早川先輩のことだけで済ませられるものではないと、暗に分かっているせいかもしれなかった。 あの営業部長を断罪するとなると、とてつもなく大それたことをすることになる。 競合他社に情報を流していた伊藤さん。矢崎部長と直接通じていたのだろうか? どちらにしても、矢崎部長は真っ黒なのだけど。 本部長の読み通りなら、間にいるのは誰なのか、疑念がふつふつと湧いてきていた。
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