7.援軍

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呼んであったらしいタクシーに本部長と一緒に乗り込み、私は最寄り駅まで送ってもらうことになった。 車中、本部長は静かに話を切り出してきた。 「ところで、奈美子君とは会ってるの?」 殆どの関係者にはこの説明は欠かさなかったなぁと思いながら、私は、お正月に高松へ行って久しぶりに会ったと答えた。 「そうか、元気でいてくれればなによりだが」 「お元気そうでしたよ」 こっちで病気をしたとのことは端折った。 その後、本部長はなにやら考え事を始めてしまい、別れ際もあっさりだった。 こんな展開になるとは…。ここまで来て、がっかりと言うか、結局、自分には役不足だったのだと思い知った。 へこみながらアパートに帰ってきた。 おいしいものを食べてきたというのに、まだそれが消化しきれないうちに、本部長に話したことが間違っていたのかと自問自答と反省を繰り返す。 『やっぱり…ちゃんと聞かないと!』 悶々としながらも、ベッドに入る頃には気持ちが固まっていた。 私は、本部長ともう一度向き合うことを決めていた。 翌週の月曜の朝。私はまたしても本部長室前にいた。本部長はまだだった。 一応、本部長室にいると、あや美の机に付箋を貼り付けておいた。 待つ程もなく本部長が登場。月曜日は割と早い。 「おはようございます」 私が挨拶をすると、本部長は怪訝な面持ちで私を凝視する。 「なんだ?またか?今度はなんだ」 本部長は嫌々ながらの心中を隠そうともせず、私を室内に通した。自分の机に着き、悪人面で私を見ている。手足の武者震いはさっきまで。今は大丈夫…。 「すみません…金曜日はご馳走さまでした。その時にお話した件で…本部長におまかせするとしても、やはり本部長の手の内を知りたいと思います。ここだけの話とお約束しますので、お考えを聞かせてくださいませんか」 お願いしますと、私は頭を下げられるだけ下げ、本部長の言葉を待った。 恐らく本部長は、呆れたか怒ったか。私は戦わず玉砕するのか…。
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