8.策略

14/15
前へ
/310ページ
次へ
満足して、四方堂君を促し、自分もせっせと椅子を積み始めた。 「なぁ、あれ、なに?一体なに企んでんの?」 気になるよね、そりゃ。悪事の片棒を担がされているのかと、ヒヤヒヤしてるよね? 「ごめん、ちょっと、知りたいことがあって」 はぐらかしてみたけど、四方堂君はちっとも納得がいかない様子だった。 このところ、ラインも既読スルーばかりだったし、早川先輩と会ったことも気にしてくれていたのに、私は無視するみたいに四方堂君と話すことを避けてしまっていた。 ドアが隠れるように椅子をどんどん積んでいった。 「この積み方だった?」 元々の積まれ方を見ていない。四方堂君は、うぅんと唸る。 「まぁ、こんなもんじゃないかな」 と請け負った。 全部積んで、フゥッと息を吐く。真冬だというのにうっすら汗もかいていた。 「手伝って貰えて助かった。そう言えば、四方堂君はここへは何しに来たの?」 崩れた時の音が聞こえたのかもしれないが、一応聞いてみた。 四方堂君が言うには、たまたま6階の本部長室にいたところ、上から音が響いたので、戻りがてら確認しに来たとのことだった。 「下に?聞こえたの?あ!」 そう言えば、真下は本部長室だ。そっかそっかぁ。 「まさか芽衣子だとはね」 相変わらずだと言われたような気がした。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加