9.収束

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2時間後。酔いも回ってきて、室長が四方堂君を独り占めにしていた。 私は、あや美とみちるを相手に女子会もどきを楽しんでいたら、男性数人に囲まれ、合コン状態となったのをそこそこ楽しんでいた。 すると、田中君という若手がへべれけで乱入してきた。 右手には飲みかけのビールグラスと、何故か左手にグリーンアスパラガス。先っちょにマヨネーズがついていたから、食べるつもりなのだろうけど。『?』 「松浦さんはぁ、彼氏と長いってぇ噂がぁ、俺としてはぁ、なんか違うんじゃぁないかってぇ…いや!違うんじゃなくってぇ、えぇと、だからぁ彼氏ってゆぅのはぁ、実はいないのが長いってはなしっすよねぇ」 「ちょっと!田中!なに失礼なこと言ってんの。芽衣子さんの彼話は禁句でしょ!」 「え?」そうなの? 酔うと失礼になる後輩の田中君は、まだ20代半ば。仕事で組むことは無いが、飲み会と言うと、一緒に幹事になったり隣の席になるとよく絡まれていたのだが。 私は驚いた。私の彼話はいつから禁句になっていたのだろう。 「芽衣子さぁん、すみませぇん。禁句っていうのは大袈裟で。なんていうか、気を使いましょうというキャンペーンなんですよぅ」 あや美もかなり飲んでいるようで、なにを言ってるんだか。キャンペーンって。 「気を使わせてごめんよ」 と一応謝っておいた。笑顔を見せて、気にしていないことをアピールする。 田中君は、ほぼ独り言を延々とやっていて、皆はいつものことといったこの状況に慣れきっていて、彼は放置されていた。
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