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『とにかく落ち着かなければ』
私は甘くて冷たい飲み物を一気に飲み干し、カフェを出た。
その時に四方堂君から着信。勿論切ってやった。
すると、ラインが入った。『ごめん、本当に。芽衣子にさせたいことではなかったんだ…云々』
だから、言い訳なんか聞きたくないって言ってるでしょ。
私はラインも徹底無視した。
オフィスに戻ると、あや美が驚いていた。
「あれ?早かったんですねぇ」
そうだ。あの業者だと最低でも2時間は戻ってこられない。
「うん…担当者がいなかったの。手違いよ」
弱々しい声しか出なかった。思いの外、ダメージが強かったようだ。
「…芽衣子さん?なんか、大丈夫ですか?」
すると、みちるがなにかの書類の束を抱えてやってきた。
「あ、松浦さん。先程はありがとうございました。ホントに、ホンットに助かりました」
そう言って、私に脚を見せてクルリと回る。
「なに?なにしてるの、みちるったらぁ」
ワハハと、可笑しそうにあや美が笑って、みちるも笑う。
私もつられて笑いそうになって…涙が出てきた。そのまま、私は両手で顔を隠して静かに泣いた。
オフィス内は驚きに包まれていた。あや美とみちるはオロオロ状態だ。
「大丈夫…大丈夫だから」
ちょっと、と言って、トイレに駆け込んだ。
『悔しい。四方堂君のバカ』
涙と嗚咽が途切れることなく噴出していた。
『今、あの子達に心配をかけてしまっている』
職場で泣き出すなんて。この後始末をどうつけたらいいのか、私は途方に暮れていた。
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