9.収束

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早川先輩の不当解雇についても、矢崎部長本人が直接咬んでいたことから、その場にいた誰もが顔を背けるほどの嫌悪を示し、最早、庇い立てするものは無かったという。 結果、社長の鶴のひと声で、早川先輩に対する謝罪と処分の撤回を命じられたと本部長。 迷奉行のお裁きだったね。 最後の締めくくりに、本部長は私を労ってくれた。 「私なんて、なにも」 謙遜ではなく、本気で首を振った。 本部長は、いやいやと、手を振る仕草で私を宥める。 「芽衣子君のお陰で、奈美子君への贖罪が叶った。私は、そのことまでは無理だと考えが及ばなかったのだ。だが、芽衣子君と話したことで、私もいろんなことを考えた。別の側面から物事を考えてもみた。君のお陰で、腹を括ることができたのだ」 本部長の気持ちがよく理解できた。 皆、それぞれが自分以外の者のために最善を尽くしたのだ。今回、それが最大の勝因だったのだと私は思う。 7時を回っていた。オフィスはモノの見事に無人だった。そろそろ帰るかと、席を立った時に南雲さんが現れた。 「あ…こんばんは」 「松浦さん。今日は、いや、今日だけではないか。いろいろお疲れさん」 南雲さんとは、今朝、会議室前で悶着起こして以来なので、流石に気まずかった。 「その節はありがとうございました。今朝方はお騒がせして…」 私はペコリと頭を下げた。 「まぁ、上手いことやったね。君と、本部長と、吉森君ね」 南雲さんは全てを?
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