48人が本棚に入れています
本棚に追加
キョトンとした後、一気に顔に火がついた。
「な、な…!」
私は 椅子から立ち上がり、鼻息荒く次の言葉を吐こうとした。が、言葉が出ない。
「ま、そう興奮しないで。ただの気の迷いだから」
『はぁ!?』なんすかそれ!
じゃあ、また、と後ろ手に手を振って南雲さんは職場に戻って行った。
真っ赤になったであろう顔色を気にしながら、席に着いた時、私の質問を上手く躱されたことに気がついた。
『なんで録音なんて?』手土産…?
月曜日から飛ばしすぎた一日だった。なんだか物凄い疲れを感じていた。まるで残業しまくった週の金曜日のようだ。
ゆっくり片付けて、オフィスを出、家路を辿る。アパートに着いた時は9時過ぎていた。
お風呂を済ませ、ビールを開けてチンした残り物を摘んでいたら、四方堂君から着信。予測の範疇。
「芽衣子?」
声を聞いた途端、心臓がドキッとした。南雲さんの戯言を思い出したからだ。
「よ、もどうくん…あ、どしたの?」
『四方堂君なんて知らない!』って、暴言吐いた次のセリフ…だったこと、この後に及んで気がついたもんで、恥ずかしくなった。
「…今回のこと、聞いたよな。良かったな、早川先輩のこと」
そうそう、そのこと。ちゃんと話さなきゃ。
「…ありがとう。いろいろ…あの、今朝は取り乱してごめんね」
「いや、芽衣子が怒るの、分かっててやったんだし…」
「ううん、分かってるの。四方堂君の考えは。有難かった。あの時はよく見えなかったけど…あとでちゃんと分かったから…」
最初のコメントを投稿しよう!