9.収束

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キョトンとした後、一気に顔に火がついた。 「な、な…!」 私は 椅子から立ち上がり、鼻息荒く次の言葉を吐こうとした。が、言葉が出ない。 「ま、そう興奮しないで。ただの気の迷いだから」 『はぁ!?』なんすかそれ! じゃあ、また、と後ろ手に手を振って南雲さんは職場に戻って行った。 真っ赤になったであろう顔色を気にしながら、席に着いた時、私の質問を上手く躱されたことに気がついた。 『なんで録音なんて?』手土産…? 月曜日から飛ばしすぎた一日だった。なんだか物凄い疲れを感じていた。まるで残業しまくった週の金曜日のようだ。 ゆっくり片付けて、オフィスを出、家路を辿る。アパートに着いた時は9時過ぎていた。 お風呂を済ませ、ビールを開けてチンした残り物を摘んでいたら、四方堂君から着信。予測の範疇。 「芽衣子?」 声を聞いた途端、心臓がドキッとした。南雲さんの戯言を思い出したからだ。 「よ、もどうくん…あ、どしたの?」 『四方堂君なんて知らない!』って、暴言吐いた次のセリフ…だったこと、この後に及んで気がついたもんで、恥ずかしくなった。 「…今回のこと、聞いたよな。良かったな、早川先輩のこと」 そうそう、そのこと。ちゃんと話さなきゃ。 「…ありがとう。いろいろ…あの、今朝は取り乱してごめんね」 「いや、芽衣子が怒るの、分かっててやったんだし…」 「ううん、分かってるの。四方堂君の考えは。有難かった。あの時はよく見えなかったけど…あとでちゃんと分かったから…」
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