9.収束

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電話の後、私は、早川先輩と会ったお正月から、今朝までの、2ヶ月あまりを思い起こしていた。 結局、詳細を省いたし、四方堂君に伝わったかどうか分からなかったけれど、『早川先輩に報告に行ってくるね』と言ったら、四方堂君は、『今度、東京で3人で飲もうって伝えてきて』と言伝を頼まれた。 もしも3人で会うことが叶ったら、もっと詳しい話ができるんだろうなと、四方堂君に説明するのはその時でいいかとも思えた。 私は、今週末に再び高松に行くことを決めていた。 『早川先輩、驚くだろうか…差し出がましいことをしたと思われないかな…いや、本部長から連絡が行くはず。その電話で、私が関与したことを知れば、先輩から連絡が来るかも』 そして、早川先輩からの電話は、木曜の夜に来た。そろそろ来なければ、こちらから連絡しようかと思っていた頃合いだった。 「本部長からお電話頂いたの。驚いた…芽衣子さんが言ってきてから、まだ2ヶ月ちょっとでしょ?本当にやり遂げたのね」 本部長ったら、早川先輩に私のこと、相当持ち上げたのかしら? 「いえいえ、そうじゃないんです。殆どは本部長の力なんです。それと、吉森さんの。多分、本部長は照れ隠しに私を引き合いに出したんじゃないかと」 私の大雑把過ぎる説明も、納得したのだかどうだか分からないまま、先輩はクスクス笑って、『とにかく、来るんなら来ちゃって。待ってるね』と言ってくれた。 私の行動は読まれていた。でも、嬉しくて、今週土曜日に行くと伝えて、ひとまず電話は終えた。
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