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先輩は急に、うぅぅんと膝立ちして伸びをした。座布団に座りっぱなしで、確かにちょっと腰が辛い。
「ね、私の部屋で話さない?あ、なにか持っていくね」
先輩は口頭で自分の部屋の場所を説明して私を先に行かせ、自分はなにか茶菓子の用意をして行くと言った。
2階に上がり、言われた部屋に入る。部屋は爽やかないい匂いがした。
全体的に白のファブリックの作る清潔感と女性らしさが先輩らしいお部屋だった。
本棚には小説の文庫本がぎっしり。こんなに読書家だったんだと、先輩の知らなかった一面を知り気持ちが浮き立った。
南向きの窓辺に寄り、そこから見える庭や近隣の家並みを見ていたら、美味しそうなコーヒーの香りに気がついて振り返る。
「お待たせ」
先輩が、お盆を手に背中で扉を開けて入ってきた。
「あ、すみません。ありがとうございます」
私も手伝って、ベッド脇の小さなテーブルに並べ、2人でベッドに並んで寄りかかって座った。
コーヒーはかなり美味しかった。お茶菓子は、お母さんの手作りケーキとこの辺りの名物らしいお菓子など。
「良かったらどうぞ」
先輩は気の置けない感じで、ハイと、私の掌にケーキの皿を持たせる。
「すごぉい。先輩のお母さん。ご飯もおいしかったし、主婦のお手本みたいですね」
「ご近所で習い合ってるみたいよ。婦人会ってやつ」
クールにそんな説明をするけれど、先輩も美味しそうに食べていた。
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