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茶飲み話に、私は南雲さんの印象というものについて語り出した。
「先輩は好きになれないって言ってたけど、私には初対面から好印象に近かったんです。むしろ真山さんの方がだいぶ気を使ったぐらいで」
「あぁ…なるほどねぇ」
「先輩にアタックしていた頃よりは、南雲さんも成長されたんでしょうね。まぁ、最後には、付き合いきれない個性を認めることにはなりましたけど」
南雲さんネタで暫く笑った後、コーヒーを啜りながら先輩は沈黙した。
私はお菓子を頂いたり、コーヒーを飲んだりして、沈黙を気にもしなかったけれど。やっぱり『?』となって声を掛けた。
「先輩?」
先輩は微笑を見せながら、うんうんと頷く。
「どうかしたんですか?」
すると、先輩は、笑顔のまま意外なことを話し始めたのだ。
「私ね…真山さんを責められない。だって、彼の私への猜疑心は的外れなんかじゃなかったのよ」
「え?」
どうゆうこと?最初の話に戻って、先輩、なにを言い出すの?
「なんか、驚かせてごめんね。でも、お世話になった芽衣子さんにはちゃんと話しておくね」
「先輩…」
「あの頃、南雲さんからの長きにわたるアプローチは、殆どルーティンのように繰り返されてきたの。正直、そうされることに慣れてしまっていた。そんな時、真山さんから付き合って欲しいと言われて、私はそれを受けた。私の唯一の条件、結婚はしないし子供も作らないということを承知してくれたのが大きくて」
『え?付き合う時に条件付けしていたの?なぜそんな…』
私の疑問を他所に、先輩は話を続ける。
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