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昼休みの直前の事だった。
あや美とみちると、ランチはどうしようかなどと浮かれていた。最近、この子達との絡みが楽しくてならない。
すると、携帯に着信が。『?』
「あ?」
画面に表示されたのは知らない番号だ。あや美が、『どなたですか?』と覗き気味になっている。
「さぁ…誰だろ」
私は出てみることにした。
「はい、もしもし?」
「ああ、松浦さん?」
その声は南雲さんだった。そうだ、四方堂君から番号聞き出したんだよね。
驚愕したような表情の私に、あや美達が心配そうに見守っている。
「あ、お久しぶりです…」
南雲さんは、すこぶる快調な感じで話している。
「今いい?」
私は受話口を押さえて、あや美達に構わず食事に出るように言うと、電話に戻った。
「大丈夫ですけど、南雲さん、どうかされたんですか?番号教えたって四方堂君からは聞いてましたけど」
「あ、そう。まぁ、どうということではないんだけどね。君とは、一度ちゃんと会っておこうかと思ってね」
確かに、あんな感じで去られたら、気持ち悪いのは私の方だ。
「はい…そうですね」
「今夜、どうかな?時間取れるかい?」
「はは…急ですね。いいですよ。仕事も落ち着いていますし、今夜がいいです」
今夜、6時に銀座で待ち合わせることにした。所謂デートではないのだから、気張る必要はない。
それに、南雲さんには是非聞いておきたいこともあって、今日の定時上がりが確実な時に誘ってもらえて、返って良かったと思っていた。
電話はすぐ済んだので、あや美達に追いつこうとラインを送ったところ、わりと近い居酒屋風のご飯やにいるのが分かり、急いで向かった。
夜は居酒屋だが、ランチを始めたらなかなかコスパが良くて、評判になっていたお店だ。最近は10人ぐらいの行列を横目に通り過ぎては、興味津々でいたのだ。
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