11.予兆

11/24
前へ
/310ページ
次へ
昼休みの直前の事だった。 あや美とみちると、ランチはどうしようかなどと浮かれていた。最近、この子達との絡みが楽しくてならない。 すると、携帯に着信が。『?』 「あ?」 画面に表示されたのは知らない番号だ。あや美が、『どなたですか?』と覗き気味になっている。 「さぁ…誰だろ」 私は出てみることにした。 「はい、もしもし?」 「ああ、松浦さん?」 その声は南雲さんだった。そうだ、四方堂君から番号聞き出したんだよね。 驚愕したような表情の私に、あや美達が心配そうに見守っている。 「あ、お久しぶりです…」 南雲さんは、すこぶる快調な感じで話している。 「今いい?」 私は受話口を押さえて、あや美達に構わず食事に出るように言うと、電話に戻った。 「大丈夫ですけど、南雲さん、どうかされたんですか?番号教えたって四方堂君からは聞いてましたけど」 「あ、そう。まぁ、どうということではないんだけどね。君とは、一度ちゃんと会っておこうかと思ってね」 確かに、あんな感じで去られたら、気持ち悪いのは私の方だ。 「はい…そうですね」 「今夜、どうかな?時間取れるかい?」 「はは…急ですね。いいですよ。仕事も落ち着いていますし、今夜がいいです」 今夜、6時に銀座で待ち合わせることにした。所謂デートではないのだから、気張る必要はない。 それに、南雲さんには是非聞いておきたいこともあって、今日の定時上がりが確実な時に誘ってもらえて、返って良かったと思っていた。 電話はすぐ済んだので、あや美達に追いつこうとラインを送ったところ、わりと近い居酒屋風のご飯やにいるのが分かり、急いで向かった。 夜は居酒屋だが、ランチを始めたらなかなかコスパが良くて、評判になっていたお店だ。最近は10人ぐらいの行列を横目に通り過ぎては、興味津々でいたのだ。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加