11.予兆

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寝不足にワインが効いて、電車の中でもバスの中でも寝込みそうだったのに、家に着くなり眠気は無くなっていた。というか、ワインの酔いが覚めたのか。 風呂に入り、湯上りの缶ビールでいい気分になっていた。 そう言えば、鍵を探さないで、紛失届けもまだだったことに突然気がついてしまった。 『ああ、南雲ハイだったなぁ…』 明日こそ、ちゃんとしておこう。 大家さんに再び鍵を預けに行く時に、お詫びの手土産も用意しなきゃだし、広瀬にも同様だった。 寝ようと思ったところへ早川先輩からの着信。ラインだ。先輩曰く、自分はプライベートがほぼ暇だから、東京行きはいつでもいいとのこと。 先輩の休みは日月で、土曜の仕事終わりに発ち月曜に戻ればいいから、私と四方堂君の都合の良い時に会おうとあった。『今週末でも大丈夫よ』ともあった。 私は、時計を確認した。『11時か…大丈夫かな』少し悩んで、四方堂君に相談してから返事をすることにした。 『遅くにごめんね。大丈夫ならでいいので、早めにお返事ください。早川先輩が今週末でも上京できるとのこと。四方堂君がOKなら、日曜日のランチでもどうでしょうか』 夜だと、身重の妻の手前、やはり遠慮してしまう。 待つ程もなく返信がきた。 『日曜のランチでOKだよ。楽しみにしてる』 『場所と時間は決まり次第知らせるね』 さすが、決め事はチャチャッと決まる。仕事のできる人は決断が早いのだろう。 直ぐに先輩に返信した。 『では、今週末、お待ちしています。四方堂君とは日曜のランチで約束しました。うちに何泊でもいいから泊まっていってください』 先輩は、夜のうちに返信が来ると思っていたらしく、了解のスタンプが直ぐについた。
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