11.予兆

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翌朝、この週末に楽しみができて、すこぶる快調という足取りで出社した。 2件の打ち合わせで、結果的に私は新規商品と他に案件を幾つか抱えることになり、体がもう一つ欲しいと感じる仕事量になった。 やろうと思えばできる、とも感じていた。無理そうだと、四方堂君がいた頃なら敬遠したと思う。でも、これまでやって来られた結果を見れば、自ずと自分の力量は分かっていた。 あや美も少しステップアップした。みちるも、滝沢さんがこなしていた全てとはいかないが、気持ちにも余裕を持ちながら手際よく捌いているように見えた。 金曜日の女子会は、昨日の時点であや美と『ダメそうね…』というアイコンタクトをしたのだけど、今に至り、やっぱりやろうかという気になっていた。まぁ、様子を見ながらだけど。 定時から2時間後に、業者との打ち合わせが入ったので、食事がてら用事を済ませたい旨を室長に告げ、5時半頃会社を出た。打ち合わせの業者へは室長も同行するため、最寄り駅で落ち合うことにした。 食事は、鍵をなくした日にあや美とみちると寄ったご飯やへ。 昼間、仕事の合間にJRと都バスに問い合せてみたが、私の鍵は届けられてはいなかった。 鍵自体に特徴はなく、思い切り量産品のもの。偽造もピッキングも難なくできそうな。 但し、キーホルダーが『靴べら』なのが、最大にして唯一の特徴だった。この靴べら、小型ながらちゃんと使える。
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