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LRには、なかった。ピザを食べながら、バーテン君に尋ねたが、『知らない』とのこと。知らないってなに!?とは言わず、困った様子も見せずにピザをビールで流し込んだ。
『なかったってことなんだろうけど、言葉!なのよ、あの子の問題は!』
バーテン君にも自分にもイライラしていた。
アパートに帰りついたのは10時を少し回った頃だった。
その時にはもう、イライラは収まっていた。
明日も忙しい。私は、とにかく早く寝ることに専念することにした。
木曜日の朝。ミーティングルームでの朝礼に始まり、わいわいと賑やかに始業した。
みちるは、朝はデスクに座っていられない。忙しそうだった。あや美はというと、田中君にさっきから何やら絡まれていた。一見楽しそうだったので、放っておいたら、突然あや美が私に縋りつく。
「芽衣子さぁん、もう、田中のヤツったらしつこいんですぅ」
何かと思ったら、金曜日にご飯に行こうというお誘いだったらしい。
「うおっ」
なに?デートのお誘いか?あや美にもとうとう春が?
「それが、居酒屋の半額チケットの期限だからとか、最悪ですよぅ」
あや美の最悪は理解できた。確かに田中君の酒癖は堪らん。安酒で、シコタマ飲むつもりでもいるのだろう。田中が飲みに誘うイコール、自分が無事にタクシーに乗るまでのお世話をお願い、なのだ。
「わはは」
朝から愉快な子たちだわ。
「笑ってないで、なんとかしてくださいぃぃ」
「ならさ、女子会あるからって断るといいよ。つか、私が言う」
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