12.三つの恋と三つの愛(一)

2/25

49人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
6時半頃、帰ったと思ったあや美が戻ってきて、サンドイッチの差し入れ。多めにあったので、一緒に食べる気らしかった。 あや美は、タマゴサンドを頬張り、モグモグやってしっかり飲み込んでから、徐ろに質問をぶつけてきた。 「あのぉ、芽衣子さんと南雲さんて、どんなおつき合いなんですかぁ?」 「ん?あぁ、あれね。気にしてたんだ、あや美」 「気にしますよぅ。芽衣子さんのことが心配なんですぅ」 わは、くすぐったい。 「南雲さんとは、早川先輩のことでいろいろ相談に乗ってもらった、短い期間に短い時間、話しただけの人よ」 「なら、どうして急に、南雲さんは会おうと言ってきたんですぅ?」 私はサンドイッチを頬張りながら、パソコンを打ち続けていた。 「話しておこうと思ったんでしょ?それに…あ」 うっかり、すっかり忘れていたけど、プロポーズされたんだっけ。 「あ、って?なんですか、なんか、あったんですか?」 ささやき声ではあるが、身を乗り出し、顔を近づけてくるあや美。随分必死だな…どうしたのだ。 私は怪訝に思いながら、プロポーズの件は黙っていた方がいいような気がしてきた。でも、今日のあや美はかなりしつこそうだ。明日のこともあるから、仕事、終わらせたいんだけど。 「じゃあ…話すけど、絶対に誰にも言わないって約束してよ」 「約束、しますします!」 あや美は畏まって、私の方に身を乗り出してくる。 「実はさぁ…はは」 言い出しづらくて笑って誤魔化しても、あや美のスタンスは微動だにしなかった。こめかみをポリポリしながら、やっと言葉を絞り出す。 「実は、南雲さんにプロポーズされたんだよね」
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加