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6時半頃、帰ったと思ったあや美が戻ってきて、サンドイッチの差し入れ。多めにあったので、一緒に食べる気らしかった。
あや美は、タマゴサンドを頬張り、モグモグやってしっかり飲み込んでから、徐ろに質問をぶつけてきた。
「あのぉ、芽衣子さんと南雲さんて、どんなおつき合いなんですかぁ?」
「ん?あぁ、あれね。気にしてたんだ、あや美」
「気にしますよぅ。芽衣子さんのことが心配なんですぅ」
わは、くすぐったい。
「南雲さんとは、早川先輩のことでいろいろ相談に乗ってもらった、短い期間に短い時間、話しただけの人よ」
「なら、どうして急に、南雲さんは会おうと言ってきたんですぅ?」
私はサンドイッチを頬張りながら、パソコンを打ち続けていた。
「話しておこうと思ったんでしょ?それに…あ」
うっかり、すっかり忘れていたけど、プロポーズされたんだっけ。
「あ、って?なんですか、なんか、あったんですか?」
ささやき声ではあるが、身を乗り出し、顔を近づけてくるあや美。随分必死だな…どうしたのだ。
私は怪訝に思いながら、プロポーズの件は黙っていた方がいいような気がしてきた。でも、今日のあや美はかなりしつこそうだ。明日のこともあるから、仕事、終わらせたいんだけど。
「じゃあ…話すけど、絶対に誰にも言わないって約束してよ」
「約束、しますします!」
あや美は畏まって、私の方に身を乗り出してくる。
「実はさぁ…はは」
言い出しづらくて笑って誤魔化しても、あや美のスタンスは微動だにしなかった。こめかみをポリポリしながら、やっと言葉を絞り出す。
「実は、南雲さんにプロポーズされたんだよね」
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