12.三つの恋と三つの愛(一)

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「芽衣子さん、昨日の話の続きなんですけどぉ。あの後、ちょっと考えてみたら、なんとなくですけど、南雲さん、早川先輩のことを引き摺っていたりしませんか?だから、芽衣子さんにプロポーズしたのはなんでなんだろうって感じなんですよねぇ」 「え?プロポーズ?南雲さんが芽衣子さんに?」 と、今度はみちるが慌てる。 「それは私も同じく感じてるの。プロポーズは断ったから」 私は一人ずつに答えてから、早川先輩の解雇の件には、先輩の元彼との恋愛事情が絡んでいたこと、南雲さんは確かに振られていたこと。詳細は聞かないでと念押しして語った。 「南雲さんは、誰でもよかった訳では無いと思うの。多分、早川先輩の後輩の私だから、元々愛着があったんじゃないかな。愛情なんて全く感じないけど、人として好きでいてくれたのかなって。結婚に飛躍したのは年齢的なものからよ」 なるほど、と2人は同時に頷いた。 「私としてはね、実は、早川先輩と南雲さんを引き合わせようと思ってる」 2人はよっぽど驚いたのか、あや美はワインを噎せていたし、みちるは口に入れたチーズをお皿に落としてしまった。驚いて口を開けてしまったせいだ。 「芽衣子さんたらぁ、なにを言い出すのかと思えば。そんなの無理ですよぅ」 「私も、今更無理なんじゃないかなと思います」 フムフム、君たちは、早川先輩の当時の複雑な恋愛感情を知らないからね。でも、ここでそれを暴露するつもりは無い。 「まぁ、見ていて。実はね、明日、早川先輩が上京してくるの。南雲さんは、私とのことを装って誘う。もち、先輩には内緒よ。私はこの2人、絶対上手くいくと思う」
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