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簡単に片付けをして、寝ることにした。先輩にベッドを譲ったところ、案の定、遠慮されたけれど、ここは押し切って、先輩にベッドを使ってもらうことになった。
灯りを落とし、高低差はあったが枕を並べて、私達は眠気が来るまで話をした。
「明日、四方堂君に会っても、2人が付き合っていたことは知らない振りをするわね。彼、気を使うだろうから」
早川先輩は本当に優しい。私はありがとうという返事をするに留まった。
それより…。
「あの、先輩?ちょっと聞いてもいいですか?」
「なぁに、改まって。聞きにくいこと?」
先輩の微笑が目に見えるようだ。
「その…南雲さんのことなんですけど」
南雲さんからのプロポーズは無かったことにしようと決めていた。だから、先輩には話さないでおこうと。
「え…南雲さん?」
先輩は怪訝な声音だ。そりゃそうだろう。脈絡が無さすぎる。
「はい。先輩は、南雲さんとはもうなにも起こって欲しくないと思いますか?それとも、もしなにかきっかけがあったら、付き合うことは有りですか?」
衣擦れの音が聞こえる。先輩は、当惑して私の顔を覗き込んでいるのだろう。
「なぜ今、南雲さんなの?なにか、あった?」
勘の良い先輩だから、そこら辺は気がつくだろう。
「…少し、話をしました。南雲さんは、まだ先輩に気持ちがあるんじゃないかと感じたんです…会って、みませんか?」
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