12.三つの恋と三つの愛(一)

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「…その時、南雲さんがコイツの手を止めてくれなかったら、俺はボコボコにされていたかもな」 「ちょっと!大袈裟な…」 「南雲さん?」 早川先輩は、素早く反応した。確かに、南雲さんの部分は私が端折ったから、先輩には初耳だ。 先輩は私に物言いたげな視線を送ってから、四方堂君の話を促した。 「なんか変なこと言ったかな?南雲さんって、早川先輩とはいろいろあったようだけど、だからといって話すらできないほど気まずい訳じゃないですよね?」 「四方堂君、はっきり言い過ぎ」 でも、ナイス。 「…まぁ、そこまで気まずくなる程のことはなかったけど…で?ボコボコにされずに済んだ後は?」 四方堂君は話を戻し、更にその後の自分が知る展開を話し出した。 本部長との話の時に、そっと先輩の顔色を伺ったが、心境の複雑さすら映さずにいるところを見ると、やはり本部長に対しての不興は抱いていないらしかった。 先輩はそう言ってはいたが、本当のところは、少しだけ心配に思っていたのだ。私は安心していた。
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