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「本部長はさ、早川先輩をすごく買っていたんだ。それに、先輩の縁談も考えていたらしいよ」
私も先輩も、ビックリして『えっ!』と2人で四方堂君を凝視してフリーズ。
「ちょっと!四方堂君、それ本当?」
「芽衣子さん、落ち着いて」
直ぐに冷静さを取り戻した先輩から窘められた。見ると、周りのテーブルからの視線が痛かった。
「ホントホント。誰とは聞いてないけどね。本部長、仲人やりたかったみたいだよ」
そうだったんだ。本部長、早川先輩のこと、信頼していただけでなく…。なら、懲戒解雇なんて、本部長にしたら本当に辛い判断だったんだな。それに、寂しさも。
「そうだったの…じゃあ、私、本部長のツテで玉の輿に乗れたかもしれなかったのね。惜しいことしたなぁ」
私があんまりしみじみしちゃったものだから、先輩は明るく冗談にしてくれた。
「先輩、今は?地元に彼とか」
私は四方堂君の足を蹴ってやった…が、テーブルの足をガコンと鳴らしただけだった。届かない…。
気にもせず、2人は話を続ける。
「いないわよ。私は芽衣子さんと独身同盟でも組もうかと思ってるぐらいなんだから」
「え?」
今度は四方堂君が驚いている。私と先輩を交互に見て、呆れているみたいだった。
「そんなの、ダメですよ。あぁあ、なんだろうな、揃いも揃ってさ」
「なによ、モテない末の諦めじゃないんだから、いいでしょ」
私は多少ムッとして、文句を言ってやった。そもそも、四方堂君がすんなり結婚してくれたら、私だって…。
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