12.三つの恋と三つの愛(一)

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私は四方堂君に秘密のラインを送った。 「あとで説明するから、自然な感じで今から45分後に先輩を東口ティアラへ」 「お待たせ」 取り澄ました顔で席に戻ると、先輩がトイレ混んでた?と聞いた。私はもう大丈夫みたいですよと笑った。 四方堂君は、携帯をポケットにしまいながら、私の顔を不思議そうに見つめている。 ここからティアラまでは歩いて10分ぐらいか。それにしても、咄嗟にティアラを選択した南雲さんのチョイスは流石だと感心していた。 白を基調とした、いかにも恋人たちの街角風の内装だが、コーヒー1杯が税抜き900円以上なので、学生さんは殆どいない、大人な空間なのだ。 しかも、白い丸テーブルが程よい間隔に離れていて、隣りのカップルの会話が気にならない。 アラサー女子の2、3人連れが、入ってきたカップルの品定めぐらいはしそうだけど。 デザートが軽めだったことに、内心ホッとした。 すると、四方堂君が、酔い冷ましに喫茶店に行きたいと言い始めた。 実際、スパークリングワインを2杯お代わりして、ビールも2杯飲んでいた。 四方堂君の作戦に乗り、私は、ティアラという雰囲気の良い喫茶店が最近出来たことを先輩に教えた。 果たして、先輩は『いいわね』と了承してくれた。 ティアラに着いた時は、南雲さんの到着予定より10分も前で、店内はそこそこ混んでいた。 店に入り、コンシェルジュに3名と言った時、南雲さんが入店。私達は固まった。 「あ、南雲さん…」 自分が呼んでおいて、あ、とかないでしょと自分に突っ込む。
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