12.三つの恋と三つの愛(一)

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私達にカフェは居心地が良くない。お互い何も言わずに、河岸を変えることにした。 LRに行こうと言われたけれど、私はNOと言って、別のbarの名前を出した。あまり行かないが、何度か2人で寄ったことがあった。 歩いて10分、店内は盛況だった。時刻は夕方の5時になっていた。 店長から、今日は半分貸切なんだけど、他のお客さんとごっちゃになっちゃってるから、気にならなかったら好きにして、と適当な客あしらいをされた。 仕方なく、カウンターの隅に2人並んだ。 ビールとつき出しのポテトサラダで、ようやくガソリン注入といった感じになってきた。つまり、いい気分に。ランチでそこそこ飲んでいたけれど、私も四方堂君もすっかり冷めてしまっていたのだ。 四方堂君のピッチは早かった。2杯目を飲んでいるし、ポテトサラダも注文していた。 「家の方は大丈夫?飲んでくるって言ってあるの?何時までに帰るって言った?」 立て板に水の如く畳み掛けたら、四方堂君はなぜかブスっとし出した。『?』 「だからさぁ、俺は…」 それきり黙る。マリッジブルーだっけ?そんな相談、私はして欲しくないし、四方堂君だってしたくなかろう。 「ねぇ、あんまり飲み過ぎないでね。私、送っていく訳に行かないし」 「…言ったろ?俺は結婚に向いてないって。俺さ、後悔してるんだよね」 ムカつく。なんでそんなこと言うかな。四方堂君て、男って、結婚したらこうなわけ? 「不誠実なこと、言うもんじゃないよ」 私は四方堂君の顔を見ずに言った。 「家庭に身が入らないんだ」 「父親になるのよ。入るもなにも、悩んでいる暇なんてないんじゃないの」
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