49人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
私達にカフェは居心地が良くない。お互い何も言わずに、河岸を変えることにした。
LRに行こうと言われたけれど、私はNOと言って、別のbarの名前を出した。あまり行かないが、何度か2人で寄ったことがあった。
歩いて10分、店内は盛況だった。時刻は夕方の5時になっていた。
店長から、今日は半分貸切なんだけど、他のお客さんとごっちゃになっちゃってるから、気にならなかったら好きにして、と適当な客あしらいをされた。
仕方なく、カウンターの隅に2人並んだ。
ビールとつき出しのポテトサラダで、ようやくガソリン注入といった感じになってきた。つまり、いい気分に。ランチでそこそこ飲んでいたけれど、私も四方堂君もすっかり冷めてしまっていたのだ。
四方堂君のピッチは早かった。2杯目を飲んでいるし、ポテトサラダも注文していた。
「家の方は大丈夫?飲んでくるって言ってあるの?何時までに帰るって言った?」
立て板に水の如く畳み掛けたら、四方堂君はなぜかブスっとし出した。『?』
「だからさぁ、俺は…」
それきり黙る。マリッジブルーだっけ?そんな相談、私はして欲しくないし、四方堂君だってしたくなかろう。
「ねぇ、あんまり飲み過ぎないでね。私、送っていく訳に行かないし」
「…言ったろ?俺は結婚に向いてないって。俺さ、後悔してるんだよね」
ムカつく。なんでそんなこと言うかな。四方堂君て、男って、結婚したらこうなわけ?
「不誠実なこと、言うもんじゃないよ」
私は四方堂君の顔を見ずに言った。
「家庭に身が入らないんだ」
「父親になるのよ。入るもなにも、悩んでいる暇なんてないんじゃないの」
最初のコメントを投稿しよう!