13.三つの恋と三つの愛(二)

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「あのあと、すんなり話ができたんですか?なんだかぎこちなかったですけど」 からかいではなく、私は真面目に聞いた。 「そうね…あのあとは、南雲さんに上手くエスコートされて、程なくいつもの調子に戻れたと思うわ」 いつもの調子というと、先輩の場合、真面目な感じということか。なるほど。 「それでそれで?世間話とかは端折って話してくださいよぅ」 「南雲さんは世間話はしなかったわ。まず、私にこう言ったの…こうやって君と会えるなんて、僕の夢が叶った瞬間だって」 「ほぉぉ…なかなか」 私は体のどこだかがくすぐったくなっていた。人の惚気話はこそばゆい。南雲さんめ、私へのプロポーズは完全消去したのだろう。 「それでね、私は、もっと早く、ずっと早くこうして会ったら良かったけれど、私には決心がつかなかったって話した…不妊のこと」 その点は大丈夫だったはず。私は喉を鳴らして唾をゴクリとやった。 「話されたのですか?大丈夫、でした?」 ふふっと、先輩はまたまた笑った。 「芽衣子さんが、南雲さんからのプロポーズを断った時、その事を我がこととして南雲さんにぶつけてくれたのよね?聞いたわ」 おっとびっくり。南雲さん、血迷ったプロポーズのこと、先輩に話したんだ。 「南雲さんはなんて?」 私は恐る恐る聞いてみた。 「もちろん、芽衣子さんに答えた通り、問題なしなんですって」 でもだからと言って、先輩は有頂天にはならないだろうと予測はつく。
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