13.三つの恋と三つの愛(二)

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配属後は、研修を随時重ねながら、部署で実務も学ぶ。その間、3ヶ月。当然、指導担当者が必要なわけで。ここは私達中堅どころが揉めた。 ミーティングルームに5、6名で話し合ったが、『これ以上、業務を増やせない』思いは皆同じだ。結局、じゃんけんになった。 『まずい』私、じゃんけんはとてつもなく弱い。 「ねぇ、負けた人が勝ったことにしない?」 と持ち掛けるも一蹴された。 全員で、 「ジャンケン、ポン!」 「アイコデショ!」 とやっていたら、あや美とみちると田中君が扉を開けて覗き、クスクス笑っていた。 私は負けそうになり、なにか強気になりそうなおまじないを思い浮かべようとした。が、なにも閃かない。『どうしよう…』と、唸っていたら急に広瀬の顔が浮かんだ。 『頼むぅ広瀬よぉ』私は残りの1名との戦いを残すのみだった。 「じゃぁんけぇんぽん!」 「やったぁ!!勝ったぁ!」 奇跡的に勝って喜びつつ、最早、なんの争奪戦だったのか、新人君のことは吹き飛んでしまっていた。 そういう訳で、取手さんというアラフォーの男性が指導を担当することとなった。 取手さんが一番初めにしたことは、田部君の歓迎会の手配だった。 それも今週の金曜日に。私は空いているからいいけど、急すぎないか?との懸念は払拭された。本部長以下全員の参加が取れたのだ。
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