13.三つの恋と三つの愛(二)

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アウトラインだけ、早川先輩と南雲さんの顛末を語り、最後は南雲さんが高松にくっついて行ったと話すと、あや美達は『ロマンチックゥ…』とため息さえついた。 実は本部長には、一次会の席で2人きりのタイミングに話していた。 「本当か?芽衣子君、お手柄じゃないか。いや、良かった良かった…」 本部長の目に光るものが見えた気がして私もぐっと来てしまい、終いには2人で笑い出してしまったのだ。 先輩が幸せになることで、他の人がこんなに喜び、自らも幸せを感じる。そんな人に私もなりたい…なぁんて。 じゃれあっているあや美とみちると田中君を見ながら、ふと思い出した。今週の水曜日のランチの時に、みちるが『田中君とあや美はいい感じ』と言い出したことがあった。 私は寝耳に水でびっくりしながらも、『応援しようか?』とあや美に言ったが、『いいです』となぜかあや美は拗ねてしまった。 それをこのタイミングで、思い出していた。 そう言えば、その後のあや美、元気なかったな。 田中君はともかく、なにか悩みがあるのなら、話を聞いてみようかと思い至った。 二次会のお開きに、土日に泊まりがけで来ないかと、あくまでも軽く誘ってみたところ、あや美はキャンキャン喜んで『ぜひぜひぃ。行きますぅ』と約束して帰っていった。 帰りの電車で、前の席が疎らに空いていたせいで、私はいつものように暗い窓に映る私を見つめ、物思いに耽っていた。 四方堂君の訴えも広瀬のことも、流れに任せていれば、なんとかなりそうとも思える。ならば、私が今するべき事、考える事はなんなのか…?私には本当に仕事しかない今、なにか他に考えるべき事がないのだろうか、あるのだろうか。 そんな漠然とした思いを胸に抱いていた。
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