1.厄日

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そんなこんなで盛り上がりながら、宴の終わりが来た。 本部長たちの挨拶があって、四方堂・あや美コンビへの労いの拍手で忘年会は締められた。 解散はいつも通り早い。本部長を先頭に、どんどん店を後にする。いつもなら、若手は再度集まるものだが、やはりクリスマスの金曜日。今夜の再結集はないみたいだった。 私は、うっかり忘れていた会費をあや美に手渡して、四方堂君に目で合図を送り、他の皆と一緒に店を出た。 JRで同じ方向の人がいるので、その人と別れてから電車を乗り換え少し戻り、新宿に降り立つ。 以前、四方堂君と何度か待ち合わせをしたことのある場所を選んだ。3丁目のバーだ。 歩道を歩きながら、四方堂君に店名を伝えるLINEを入れた。 すると、すぐ既読がついたので、そのまま待つと間もなく返信。了解の返信と思いきや──『会費のことなんだけど、芽衣子、金額は確認したか?』とある。 「ん?」 雑踏をのんびり歩きながらだったので、道の端にとりあえず止まって、内容をよく読み返した。 『なに?会費?金額が合わないんだろうか…』 私はすぐ様電話を掛けた。文章を打つのがもどかしい。
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