2.終わりと始まり

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『そもそも、あれもこれも自分発信の厄介事なんだよね…』 自分発信…という事は、今夜のことも? 私は、考えまいと思いながら、お金を盗った人が私を標的にした理由を考えた。 私の他、部署内18人、いや、あの2人を除いておこう。16人の顔ぶれを思い出す。 根拠はないが、室長と次長の2人も外しておこう。 すると14人。 気がつくと、深夜営業の喫茶店の前に1人佇んでいた。状況に気がつき、私は迷わず中に入った。 お客と空席は半々。1人客が多かった。今10時を回ったところだけど、クリスマスなのに、こんなものだろうか。 私はコーヒーを注文して店員のいるカウンターに背を向ける形で、窓ガラスに沿って巡らされたカウンター席に座った。目の前は素通しのガラスなのだが、面白くもない路地と隣のビルの裏口が見えるだけ。 テーブルの下に荷物置き場があったので、バッグと紙袋を置いた。 コーヒーが来た。店員は若い男の子。大学生だろうか。 さっきの喫茶店では注文したコーヒーに口をつける暇もなかったから、私はゆっくりと楽しんだ。コーヒーは好きなのだ。 『14人』 最年長のおじさんはしこたま飲んでたし、この際、50歳以上の人は除こう。こういう手の込んだ嫌がらせには走らなそうだ。 そうすると、4人外せる。残り10人。 30代3人、40代4人の20代が1人。そして、2人の派遣女子。 改めて、うちって結構年齢層高めなんだなぁと思う。 若手で実力派となると、早々に営業へ持っていかれる。ここ数年の新人は根こそぎ持って行かれた。だから20代が、あや美ともう1人の男の子しかいなくて、私の下がなかなか出来なかったのだ。
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