2.終わりと始まり

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「芽衣子さん、この前、みちるのショーツが無くなったこと話しましたよね?」 「あぁ…うん。それで?」 「あの時のみちる、なんとなく腹黒い感じがしたんですよ。なんか、犯人を見つけたら、必ず復讐するかのようなドロドロした嫌な感じ」 「そうなの?…えっ?なら、まさか、私…」 私が盗ったとバレたの?と、口から出そうになった。 「はい。多分、芽衣子さんが盗ったとみちるが思っているとしたら、今回のこと、やりそうだと私は睨んでる」 「睨んでるって、刑事みたいなセリフ吐かないでよ…あや美ぃ、マジで言ってんの?」 あや美がゆっくり頷いた。 『やだやだ…なんでそう思うのよ!』軽く冗談を飛ばしても、私の下腹に緊張が走る。 「あの時、芽衣子さんが会議に遅れたことが疑わしいって、後になってから、気になってるみたいな事言われたんです。」 「ホントに?やだ…あや美、みちるからは具体的になんて聞かれた?私のこと」 私の気になっていたことをぶつけてみた。この話の流れなら問題なさそうだった。 「芽衣子さんと私が一緒に会議室に戻ったでしょう?みちるからは、芽衣子さんはどこで何をしてたのかって聞かれた」 「それで?あや美はなんて?」 「知らないから知らないって答えましたよ。具合い悪いって言ってたから、デスクで居眠りでもしちゃったんじゃないかなぁぐらいの事は言ったかも」 その程度の情報で、私が犯人(!)だと決めつけられるものだろうか。 私は思い切り暗い気持ちで、静かに言葉を絞り出した。 「そっか…正直、そう思われても仕方が無いぐらい、みちるとは上手くいってなかったんだと思う。私が自分で思っている以上に、これまであの子に嫌な思いをさせていたんじゃないかな」 私は至極まともな思考でみちるの気持ちを擁護した。 あや美は、うぅぅんと唸り首を傾げながらケーキを丸々ひと口で頬張り、もぐもぐしながら、考えに耽っていた。
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