2.終わりと始まり

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あや美は饒舌に、日頃の社内の話題や家族の話題やらを持ち出して、楽しそうにしていた。私も、どうやら楽しんでいた。 他人に壁を作らず、こんなふうに互いの部屋を行き来し合える関係もいいかも知れないと思い始めていた。 少しして、お茶とお菓子に飽きて、ビールが飲みたくなった。 私はあや美に泊まっていけと言ってみた。なんとなく、それもいいかと思ったから。そういう思考になったことに驚きつつも、我ながら楽しんでもいた。 あや美は飛び上がらんばかりに喜んでくれた。なにやら興奮すらしていた。 本当に、この子は、なんで私に対してこれほど好意を示してくれるのだろう。有り難いことだが、謎だ。 こういう時、私はやるべき事を先に済ませてから飲むことにしていた。 なので、お風呂をたてて、あや美に入るように言った。私の部屋着と新品の下着を出してあげると、あや美は恥ずかしそうにしながら受け取ってくれた。 あや美の入浴中に、軽いつまみをつくっておいて、洗濯物を畳み、あや美の寝床を作った。 狭い部屋に、あらゆる寝具を敷き詰めたため、殆ど寝床で飲むような形になる。 あや美の次に私もお風呂に入り、出るとすぐ乾杯して始めた。
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