2.終わりと始まり

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ランチからずっと、なにかしら食べ通しだったけれど、9時を回るとなんとなくお腹が空いてきて、私はパスタを簡単に作って出してあげた。 「芽衣子さんたら、チャチャッとやれちゃうあたりがスゴイです!それにどれもおいしくて」 あや美は感動しきりだ。実家暮らしだと、自分ではあまりやらないのかな?でも、共働きの両親で下の子がいるんだから、あや美だってやれない口ではないだろう。逆に、分かるから感動するのだろうか。 「こんなんで良ければいつでも遊びに来て」 褒められたからというわけではなかった。社交辞令でも、もちろんない。 単純に、あや美という子に心を許したという事なんだと分かっていた。 四方堂君といつでも会えるように、スケジュールは空けておきたくて、親しくつき合う友達を新たに作ることは無かった。 学生時代の友達とも自然に疎遠になっていた。これは四方堂君とのこととは関係なかった。 社内の女子社員からはどう思われていたか分からないけれど、『松浦さんの彼氏ってどんな人?』などの質問はたまにあった。 まぁ、普通の人だよと答えたり、今はいないんだ、なんて言ってみたりもした。これが噂になればいいと思って、わざとそう答えていた。 噂になって、いい歳して彼氏もできないなんてと残念がられる。それが四方堂君の耳に入る。四方堂君が責任を感じる…のではないかという期待。
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